日本放射線安全管理学会

- 原発事故由来の放射性物質拡散に対する取り組み -

 

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放射線についてのご相談窓口Q&A 1

 

項目

  * 水色の文字をクリックすると、その項目の答えにジャンプします。

水・食物

Q1: 水を「飲んでもただちに危険なレベルではない」のであれば寧ろ何も言わないで欲しい。
地元は疑心暗鬼になっている。本当は安全なんですよね?
Q2: 一晩置くと線量が減るのはどうしてか。
Q3: ヨウ素-131 100Bq/kgの水を飲みつづけると本当に健康障害が現れるのか。
Q4: 大量に飲まなければいいと言われるが、実際に大量とはどのくらいか。

日常生活、汚染除去の方法

Q5: ヨウ素が含まれた水を煮沸するとヨウ素は揮発するか?
Q6: 水道水の放射能に対する暫定基準値が乳幼児と大人で違うのは何故ですか?
Q7: 東京・千葉の放射性物質を含んだ水道水はお風呂・洗濯に使えますか? また、どのくらいの値までなら使えますか?
Q8: また、ご飯を炊くのに使えますか?
Q9: 摂取制限がかかった野菜は絶対食べてはいけないと言うことですか?
Q10: 体の中に入ったI-131やCs-137はずっと蓄積されるのでしょうか?
Q11: 空気中放射能濃度測定結果が報告されているサイトはありますか?
Q12: 食品中放射能の暫定基準濃度値が発表されているが、この濃度の食品を大量に長期間摂取した場合はどうなるのか。
Q13: 現在飲料水中のヨウ素濃度限度は、1歳未満の乳幼児の場合、100Bq/L未満、それ以外の人は300Bq/L未満となっているが、 2歳の子供の場合は300Bq/L未満で良いのか。大変不安である。
Q14: 福島市の線量が高いのですが、大丈夫でしょうか。
Q15: 海が汚染されています。サンマやサケはこれからは食べられなくなるのでしょうか。
Q16: 被ばく線量を測ってほしいのですが。
Q17: 保育園、幼稚園が外遊び自粛を始めています。私も子供を外に出してはいけない?

被曝影響

Q18: 体内に入った放射性物質が体内に取り込まれた場合は、将来にわたって被ばくする心配があるが、被ばく線量はどのように考えたらよいのか。
Q19: 1μSv/h を浴び続けると健康障害が現れるのか。100μSv/hならどうか。
Q20: 放射線被ばくの影響は、後年、発がんという形で現れると聞いています。微量とはいえ、 放射能に汚染された東京の水を飲まざるを得ない者にとって不安でたまりません。不安が和らぐような説明をお願いします。

事故の内容・推移

Q21: 原子力安全委員会が出した資料によると、30km区域外でも、12日間で100mSv以上の被ばくがあると計算していますが、 その地区に住んでいる人(特に、乳幼児)の健康影響は大丈夫でしょうか?
Q22: なぜ、I-131やCs-137が大気中に出てきたのでしょうか? 圧力容器や格納庫が壊れていないのであれば、そんなに多く出てこないのでは?
Q23: I-131やCs-137以外に放射性核種は出ていないのですか?
Q24: 今でも、福島原発から放射能が出ているのですか?
Q25: 再臨界が起きるのではと心配で夜も眠れません。
Q26: このまま出続けたら、避難区域の拡大はあるのでしょうか?
Q27: 避難しようかと考えています。いつ頃戻れますか?

用語

 

 

 

水・食物

Q1: 水を「飲んでもただちに危険なレベルではない」のであれば寧ろ何も言わないで欲しい。 地元は疑心暗鬼になっている。本当は安全なんですよね?
A1: 「直ちに危険なレベルではない」と言いながら規制するのはおかしいと思うのは自然だと思います。大丈夫です。 「基準値」は、ヨウ素-131やセシウム-137などで汚染された水や牛乳・乳製品、野菜、肉・魚などを同時に一年間とり続けた場合に、 障害を引き起こす可能性がある値、という極端な場合の値です。 一般の人が、そのように汚染された飲み水や食物を長期間とり続けることはありませんし、 またヨウ素-131は半減期が8日間で放射能は減りつづけ、セシウムは体から排泄されますから、数日間摂取したからと言って、 健康への影響を生じる心配はありません。チェルノブイリの場合に小児甲状腺がんが増加しましたが、 これは高濃度の汚染地域に対してきちんとした管理が行われなかったからと考えられています。
現在の基準値は、国際放射線防護委員会(ICRP)の提言を基礎に原子力安全委員会が定めた暫定値であり、 内閣府の食品安全委員会で再度見直されることになっています。
 
Q2: 一晩置くと線量が減るのはどうしてか。
A2: 「現在問題になっている放射性物質はヨウ素-131とセシウム-137です。 セシウム-137の半減期は30年ですが、90%以上は半減期が8日と短いヨウ素です (例えばhttp://www.aist.go.jp/taisaku/ja/measurement/index.html)。 従って、24時間後には0.917倍まで下がります。水道水は常温で3日程度、冷蔵庫でなら1週間程度保存できますので、 保存後使用するとよいです。 ただし、これより長期の保存は、塩素による殺菌効果が薄れるために衛生的観点から推薦できないとされています。
 
Q3: ヨウ素-131 100Bq/kgの水を飲みつづけると本当に健康障害が現れるのか。
A3: 国際放射線防護委員会(ICRP)の刊行物(Publication 72)に示されている放射能から実効線量に換算する係数を用いると、 仮に1日にヨウ素-131が100Bq/kg含まれる水を1kg(1L)飲んだとすると、成人の場合、推定される内部被ばく線量は1日あたり2.2μSvになります。 甲状腺についての線量限度は50mSvと考えられていますので、単純に割ると22,727日、すなわち758ヶ月飲み続けるとリスクが現れ始めるかもしれない、 ということになります。セシウム等の場合も同様で、基準値は非常に余裕をみた値といえます。
 
Q4: 大量に飲まなければいいと言われるが、実際に大量とはどのくらいか。
A4: A3から、例えば、10リットルの水を飲み続けるとすると75.8ヶ月でリスクが生じるかもしれないということになりますが、 成人が1日にとる水は1.6リットルほどですので、水だけで影響が現れることはあり得そうにないといってよいと思います。 これは、基準値の設定に際して、汚染された水、牛乳・乳製品, 野菜, 穀類、肉・卵・魚その他を同時にとることが仮定されているからです。

日常生活、汚染除去の方法

Q5: ヨウ素が含まれた水を煮沸するとヨウ素は揮発するか?
A5: ヨウ素は揮発性が高いので煮沸すると減るという説もありますが、あまり確かではないようです。 水100mLを飲みたいとき、200mLを煮詰めて100mLにするとたくさん放射性物質を摂取することになります。
 
Q6: 水道水の放射能に対する暫定基準値が乳幼児と大人で違うのは何故ですか?
A6: 乳幼児は甲状腺濾胞細胞の分裂が成人に比べて活発であるため、放射線によるDNA損傷の影響が危惧されます。 実際に、放射性ヨウ素の内部被ばくによる乳幼児の甲状腺がんの発生確率が成人に比べて有意に増加することが認められています。 そのため、乳幼児に対する基準値は大人に対する基準値よりも厳しくなります。
 
Q7: 東京・千葉の放射性物質を含んだ水道水はお風呂・洗濯に使えますか? また、どのくらいの値までなら使えますか?
A7: お風呂、洗濯の場合には、放射性物質を皮膚を通して吸収することになり、 飲む場合に比べてリスクは少なく基準の数倍程度であれば問題ありません。
 
Q8: また、ご飯を炊くのに使えますか?
A8: 汚染がずっと続くわけではないので問題ありません。
 
Q9: 摂取制限がかかった野菜は絶対食べてはいけないと言うことですか?
A9: 知らずに食べてしまったとしても、健康的に問題はありません。理由はQ1の答えを参照下さい。 さらに、野菜は水洗いや煮沸をすると放射性物質が洗い流されるので、基準値の数倍程度であれば問題はありません。
 
Q10: 体の中に入ったI-131やCs-137はずっと蓄積されるのでしょうか?
A10: 一旦体内に入った放射性物質は、そのまま尿として排泄されるか、もしくは体内の標的器官に分布した後に生物学的半減期に従って代謝、 排泄されます。同時に、物理的半減期に従って放射能は減衰します。ヨウ素の標的器官である甲状腺への摂取率の正常値は15から25%程度で、 甲状腺以外に分布したヨウ素は急速に体外へ排出され、約3日間で体内に残存する量は摂取量の10%以下に減少します。 甲状腺に集積したヨウ素-131の生物学的半減期は約80日ですが、その一方で物理的半減期が8日ですので、 甲状腺に残存する放射能は速やかに低下し、蓄積することはありません。セシウムは特に標的器官はなく摂取後体内に広く分布し、 物理的半減期は約30年です。一方、生物学的半減期は約70日ですので、基本的に約70日ごとに体内放射能は半分に低下していきます。 したがって、これも長く蓄積することはありません。
 
Q11: 空気中放射能濃度測定結果が報告されているサイトはありますか?
A11: 文部科学省: http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/index.htm
日本分析センター: http://www.jcac.or.jp/senryoritu_kekka.html
産業技術総合研究所: http://www.aist.go.jp/taisaku/ja/measurement/index.html
高エネルギー加速器研究機構(KEK): http://rcwww.kek.jp/norm/
茨城県:http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/index.html
   携帯電話用 http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/mobile/index.html
その他
 
Q12: 食品中放射能の暫定基準濃度値が発表されているが、この濃度の食品を大量に長期間摂取した場合はどうなるのか。
A12: 通常摂取する範囲では問題ありません。理由はA1A3の答えを参照下さい。
 
Q13: 現在飲料水中のヨウ素濃度限度は、1歳未満の乳幼児の場合、100Bq/L未満、それ以外の人は300Bq/L未満となっているが、 2歳の子供の場合は300Bq/L未満で良いのか。大変不安である。
A13: 同じ放射能のヨウ素-131を摂取しても、内部被ばく線量は年齢とともに減少します。 甲状腺がんのリスクに対して1歳未満の乳幼児の場合は特に安全側に保つために厳しい数値が定められています。 300Bq/Lであっても、年齢に関わらず十分に安全な数値ですので、ご心配なさることはありません。
 
Q14: 福島市の線量が高いのですが、大丈夫でしょうか。
A14: 3/29現在の福島市の空間線量率は2.94μSv/時です。これまで線量率は減少傾向にあり、今後さらに減少するものと思われますが、 仮に2.94μSv/時が1年間続くとしても、25.8mSvです。海外には25mSv以上の自然放射線を浴びる地域がありますが、 そこに住む人たちに発ガンなどの健康影響の増加は見られていませんので、大丈夫です。
 
Q15: 海が汚染されています。サンマやサケはこれからは食べられなくなるのでしょうか。
A15: 汚染されているのか、汚染されているとしてもそれが健康上許容できる範囲にあるのかということを、海洋の放射性物質の濃度、 さらに魚介類中の放射能濃度に基づき慎重に検討した上で判断できることです。毎日の海洋モニタリングの結果は公表されています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304148.htm
 
Q16: 被ばく線量を測ってほしいのですが。
A16: 放射線を被ばくしているそのときに測定器を装着しないと、外部被ばく、つまり体の外から浴びた正確な線量はわかりません。 その代わりに、文部科学省や福島県災害対策本部が、各地域の1時間あたりの「空間線量率」を公表していますので、 この「空間線量率」にその場所にいた時間数を掛けた値が、常に屋外にいた場合の大まかな推定被ばく線量になります。 屋内での線量率は、その10%から30%程度です。体の中に入った放射性物質による内部被ばく線量の推定は大変専門的で簡単ではありませんが、 これも屋内にいる限りは、外部被ばくと比べると無視できる程度の低い線量になります。
 
Q17: 保育園、幼稚園が外遊び自粛を始めています。私も子供を外に出してはいけない?
A17: 避難及び屋内待避区域を除けば特に必要ないと考えられます。

被曝影響

Q18: 体内に入った放射性物質が体内に取り込まれた場合は、将来にわたって被ばくする心配があるが、被ばく線量はどのように考えたらよいのか。
A18: 今回の事故では特にヨウ素-131とセシウム-137による内部被ばくのおそれがありますが、A10に書きましたように、 いずれも最終的には体内より排出されます。このような排出の速度も勘案して、被ばく線量は放射性物質ごとに摂取量と摂取時期により計算されます。 現在のところ、まだ摂取が続く可能性もありますので、最終的な内部被ばく線量を推定することはできませんが、 少なくとも暫定基準値等の規制値が守られている限り、健康影響につながる線量には達しないものと考えられます。
 
Q19: 1μSv/h を浴び続けると健康障害が現れるのか。100μSv/hならどうか。
A19: 放射線による人体への影響には、確定的影響と確率的影響があります。確定的影響には身体的急性障害と発がん以外の晩発障害が含まれます。 一方、確率的影響には遺伝的影響と発がんが含まれます。
 マスコミ等で報道されていますが、緊急作業時の実効線量限度が100mSvから250mSvに引き上げられました(3/26、放射線審議会)。 この限度の引き上げは、ICRP2007年勧告において「緊急救助活動に従事する者の線量として確定的影響が発生することを回避するための線量である 500mSv又は1000mSvが推奨されており、国際原子力機関(IAEA)の国際基本安全基準(改訂中ドラフト4.0)において 「壊滅的状況への発展を防止するための活動に対する線量として 500mSv以下」が推奨されていることに基づいています。 500mSvは、組織影響が発症しない閾値であり、国際的にも確定的影響については、急性の障害(下痢、下血、出血等)および晩発の重篤な障害 (心筋梗塞などの脈管系障害)は認められない値とされており、今回引き上げられた250mSvはこの値の半分です。
 一方、確率的影響が生じる確率はゼロになりません。がんの発生率は線量に比例し、1mSvあたり0.005%増加すると推定されています。 100mSvの場合は0.5%増加することになり、250mSvの場合は1.25%増加することになります。これは、 3人に1人ががんで死亡する現在においては十分小さい確率であるといえます。また、この発生率は、高線量率の放射線を短時間で浴びた広島、 長崎の被ばく者における影響をもとに推定されたものですので、極めて低線量率の被ばくである今回の場合には、 さらに確率は小さくなることは容易に予想できます。
 
Q20: 放射線被ばくの影響は、後年、発がんという形で現れると聞いています。微量とはいえ、 放射能に汚染された東京の水を飲まざるを得ない者にとって不安でたまりません。不安が和らぐような説明をお願いします。
A20: この程度の汚染ではその影響は問題になりません。A19を参照下さい。

事故の内容・推移

Q21: 原子力安全委員会が出した資料によると、30km区域外でも、12日間で100mSv以上の被ばくがあると計算していますが、 その地区に住んでいる人(特に、乳幼児)の健康影響は大丈夫でしょうか?
A21: 原子力安全委員会の出した資料はSPEEDIというプログラムで評価した結果ですが、これは炉から放出された放射性物質の種類と量、 風向きや降水・雲量分布などをもとに放射性物質の広がりと地表への沈着、それによる被ばく線量等を予測するものです。 この結果では、確かに福島県飯舘村など原発から30km以上離れた場所でも12日間で100mSvをこえた線量になっています。 しかし、この被ばく線量は、放射性物質が飛んでくる戸外に12日間ずっといた場合の値であり、家の中では放射性物質から遠ざかり遮蔽効果があるため、 被ばくは1/4から1/10以下になっていると考えられます。
 また、福島県の一部の地域を除き線量は次第に下がってきていますので、すぐにヨウ素剤の服用が必要とは考えられませんが、 行政からの連絡や放射線量の変化に留意して下さい。
 
Q22: なぜ、I-131やCs-137が大気中に出てきたのでしょうか? 圧力容器や格納庫が壊れていないのであれば、そんなに多く出てこないのでは?
A22: I-131やCs-137は本来は燃料被覆管に閉じこめられているべきものなので、それらが放出されていることは燃料被覆管に損傷があることを意味します。 これらの放射能の出所としては、原子炉と燃料プール中の使用済み燃料が考えられますが、半減期が8日と短いI-131が多いことから、 停止後間もない原子炉から放出されたものと考えられています。
 これらが大気中に出た原因として、圧力容器や格納容器の損傷も考えられますが、現在までのところ、 3月15日から16日にかけて格納容器内の圧力が上がったためにガスを抜くために行われた“ベント”の可能性が高いと思われます。 福島第1原発の正門、西門前で測定された放射線レベルがベント時にピークを示し、それ以外には比較的低いレベルで落ち着いているからです。 これは、東電等の発表で2号機は格納容器が損傷を受けた可能性があるが1,3,4号機では安全と説明されていることとつじつまは合います。
 しかし、3月27日には2号機タービン建家内で強く汚染された水が確認されており、格納容器に損傷があることは否定できず、 今後の推移を注意深く見守る必要があります。
 
Q23: I-131やCs-137以外に放射性核種は出ていないのですか?
A23: 核分裂では非常に多くの核種が生成されます(核分裂生成物)。その多くは不安定核種なので、ベータ線やガンマ線を出して別の原子に変わります。 このベータ線やガンマ線が原子炉や使用済み燃料の発熱の原因です。その中で、I-131やCs-137は量が多く測定もし易い代表的な核種です。 このほか、Xe(キセノン)、Te(テルル)、Sr(ストロンチウム)なども放出されていると考えられます。Srは人体にとって影響の大きい核種ですが、 ガンマ線を出さないので検出が困難で、Csのリスク評価で考慮されています(原子力安全委員会資料)
 
Q24: 今でも、福島原発から放射能が出ているのですか?
A24: 一部に「放射性物質の放出が続いている」という報道がありますが、大量の放出は起こっていないと考えるのが合理的です。 それは、原発周辺や各地での放射線強度(線量)と放射性物質の量が、福島県の一部の地域を除けば3月16日以来次第に低下しているからです。 放射能の放出が続いていればこうはならないはずです。なお、22日ごろ福島県の飯舘村や浪江町で増加が見られましたが、 風向きの変化で空気中の放射性物質が流され、降雨等によって地上に落ちたためではないかと推測されます。しかし、29日現在、 福島原発の現状は予断を許さないものであり、屋内待機や避難に備えておくことは必要と考えられます。
 
Q25: 再臨界が起きるのではと心配で夜も眠れません。
A25: 正確な情報が得られないため心配されると思いますが、構造上再臨界には至らないというのが多くの専門家の意見です。 封じ込めにはまだ時間がかかると思いますが、これ以上の悪化は心配しなくてもよいのではと思います。
 
Q26: このまま出続けたら、避難区域の拡大はあるのでしょうか?
A26: 3月29日段階でも原発の状態は依然深刻ですが、大量の放射能の放出が心配される状況ではないと思います。 ただし、風向きなどの気象条件によっては、拡大される可能性は否定できませんので、備えておくことは必要と考えられます。
 
Q27: 避難しようかと考えています。いつ頃戻れますか?
A27: これも地域によりますが、避難及び屋内待避区域を除けば特に必要ないと考えられます。避難によって新たなストレスが生じますので、 国際放射線防護委員会(ICRP)は、最近被ばく線量が1-20mSvであれば、放射線の影響よりは避難に伴う損失の方が大きいとして、 避難しなくて済む方策を講じるよう日本政府に勧告しました。

用語

ベクレル (Bq): 放射能の強さを表す。放射線は原子が他の原子に変わる(崩壊という)ことによって出るので、1秒間に崩壊する原子の数をベクレルという。
 
グレイ  (Gy): 放射線の人体への影響は、放射線が人体にエネルギーを与えることによって起こるので、放射線が人体や物1kgに与えるエネルギー(ジュール) をグレイで表す。吸収線量という。
 
シーベルト(Sv): 放射線が人体に与える影響の尺度。放射線の影響は、放射線の種類や臓器の種類によって違うので、グレイ(吸収線量)だけでは決まらない。 そこで、放射線の種類とエネルギー、臓器の種類を考慮して、人体への影響を推定するための量がシーベルトである。
 
国際放射線防護委員会 (ICRP): 放射線の人体に対する影響や放射線からの防御について検討する国際機関。これらに関するさまざまな基準等について、 定期的に各国政府に勧告を行っている。
 
核分裂生成物: 原子炉はウランの核分裂でエネルギーを発生させている。核分裂によってウランが2つの粒子に分裂し、これらの粒子が核分裂片で、 セシウムやヨウ素は核分裂片の1つである。核分裂片は多くが不安定でβ線やγ線を出して他の原子に崩壊する。 このβ線やγ線が物質にあたって熱を発生する。これが原子炉停止後も燃料が熱を出し続ける原因であり、崩壊熱と呼ばれる。

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