平成24年度
研究奨励賞
「X線漏洩源の特定のための円環状コリメータカメラの開発」
日本放射線安全管理学会誌 第11巻、第1号、44-50
徳島大学 林 裕晃
共著者 花光宏樹、西原貞光、村上 淳
X線装置の形状は用途に合わせて多様化しており、複雑な構造を有するX線装置の漏洩個所の特定は困難である。
漏洩源を特定する方法の一つは、X線用のピンホールカメラを用いる方法である。
しかしながら、漏洩源の三次元位置を特定するのは容易ではない。
林 裕晃君は、X線の漏洩個所を三次元的に特定できる円環状のコリメータを有するカメラを開発し、医療用のX線装置を用いて性能試験を行った。
その結果、漏洩源の位置を数センチメートル程度の不確かさで推定できることを示した。
この成果は漏洩X線に対する安全管理に重要であり、本学会にとって評価できる。
技術賞
「セシウム吸着ディスクとGMサーベイメータを用いた水試料中の放射性セシウム濃度の
モニタリング法」
日本放射線安全管理学会誌 第11巻、第2号、139-145
日本原子力研究開発機構 永野哲志
共著者 三田村久吉、柳瀬信之、長縄弘親、安田健一郎、山口裕顕
東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に大量の放射性物質が放出され、広範な地域が高濃度の放射能汚染を受けた。
特に、半減期の長い放射性セシウムは依然として残存している。
食品衛生法に基づく飲料水中の放射性セシウムの基準は10 Bq/ kgである。
この測定は原則、ゲルマニウム半導体検出器またはNaIシンチレーションカウンタによるγ線測定により行われ、検出限界値として放射性セシウムについて1 Bq/ Lが求められている。
永野哲志君は、水試料中の放射性セシウムのモニタリング法として、セシウム吸着ディスクとGMサーベイメータを組み合わせた方法を考案した。
本モニタリング法の検出限界放射能は10分間程度の測定で1 Bq/ L以下となった。この成果は、福島の支援に貢献している本学会にとって評価できる。
-以上-